統合失調症の心理的治療

 
 僕は以前書いたように、カウンセラーではない、したがってこの世(在野)に必要ではない心理士である。

 その無価値な心理士として考える「統合失調症の心理的治療」の具体について触れておきたいが、その前にひと言だけ断っておく。

 統合失調症については、心理的治療よりも精神医学的治療、すなわち腹側淡蒼球などの薬物的な代謝異常の是正が優先する。そのドラスティックさにおいては、心理治療よりも薬物治療の方が根本的な治療たりうるからである。

 さて、統合失調症は多くの場合、「意味付けされた幻聴」をその主訴とする。それで僕は統合失調症のことを「囚人症候群(別名アナザーパイロット症候群)」と呼ぶことを提案している。その意味で、統合失調症は「理解不能の病」ではない。

 多くの医師が言うように、統合失調症患者ではこの「意味付けされた幻聴」が「現実」だと認識していることが、「病識の欠落」なのだと問題視しているわけである。

 ならば、統合失調症患者に治療者が手取り足取りして、「それはあなたのおかしなところです」と一々指摘して、「普通はそんな認識は持ちません」と言う明確なメッセージを与え、病識を持たせるところから心理的治療は開始されるべきである。

 そしてその先に進むためには、その症状に意識的に対決・無視させるよう患者を導くことこそが、真の意味での統合失調症の心理的治療になるはずである。

 これは昔からある「ロゴセラピー」と言う手法である。

 果たして、「公認心理師」は、こう言う治療を現実に行っているのであろうか。

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