名古屋の「ご当地ソング」が流行らない訳

 僭越ながら、筆者生まれも育ちも名古屋市西区の下町である。

 その名古屋の「ご当地ソング」が流行らない訳について簡単に所感を述べておこう。

 まず第1に挙げなければならないのは、「名古屋には旅情がない」と言うことである。神戸にせよ横浜にせよ長崎にせよ、「ご当地ソング」が流行った地域には「旅情」と言うものがある。名古屋にはそれがない。

 では、名古屋の「ご当地ソング」は永遠に無理なのであろうか。

 筆者は一点だけ名古屋の「ご当地ソング」が流行りうる可能性を感じている。それは名古屋以外の他のどの地域にもない名古屋独特の雰囲気である「賑々(にぎにぎ)しさ」をうまく表現したならば、名古屋の「ご当地ソング」としてヒットしうるのではないかと言うことである。

 いまは廃れてきているが、名古屋には「菓子蒔き」とか「ええじゃないか」と言うような、同じ地域のひとびとが皆面識があるような錯覚を感じさせるような文化がある。殿様が庶民的だった時代に栄えた歴史もある。そのイメージをジャストミートで強烈に放ったのは「きんさんぎんさん」ではなかったか。

 そのような文化の本質をひと言で表現せよと言われれば、僕はそれは「賑々しさ」だと思うのである。

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