講座 心理学概論 12 臨床心理学 3 心理相談の流れと倫理

 この節では心理相談(カウンセリング)を行うときの心理相談の流れと職業倫理について触れようと思う。  

 カウンセリングは大きく分けて以下の5つのステージがある。  

 「予約」→「受理(インテーク)面接」→「治療契約」→「カウンセリング」→「終結」  

 まず、「予約」であるが、クライエントが電話なりネットなりで申し込む場合が多いので、そう言う前提でお話すると、その時の会話などからカウンセラーは大よその問題のアウトラインを把握することが望ましい。  

 「インテーク面接」においては、クライエントがどのような問題に直面しており、クライエントにとって何が治療になるのかについて認識を深め、カウンセラーはおよその「見立て」を立てる。  

 「治療契約」では、カウンセリングの料金や曜日・内容についてカウンセラーがクライエントに説明し、クライエントがカウンセリングをこれから続けていくのか否かについて意思決定をクライエントがする段階である。  

 そして「カウンセリング」では具体的な心理相談が何回か決められた曜日・決められた日時に行われる。筆者が耳にした話では、この過程は平均10回(セッション)程度行われるそうである。  

 クライエントがカウンセリングによって心の問題を解決できたと納得できたとき、最後の「終結」と言うことになる。  

 カウンセラーはこれらどの過程においても自分では対応しきれないと思った場合には、他の機関に「引き受け要請(リファー)」を行い、クライエントが適切な相談機関で適切な対応を受けられるように配慮することを忘れてはいけない。  

 さて、カウンセリングにおける基本的な倫理について次に述べる。

 カウンセラーがカウンセリングの目的とするのは、「クライエントの最大の利益」を求めることである。カウンセラーの個人的興味やクライエントのこの目標とは関係のない個人情報を得ることは、カウンセラーのなすべき行為ではない。カウンセラーはクライエントに対してカウンセリングをやめたいと思ったならばいつでもカウンセリングをやめられることを事前に告知しておく必要もある。  

 また、心理臨床に携わるものとして細心の注意を払うことが必要で、特にクライエントについてカウンセリングにおいて知りえた情報の取り扱いには慎重である必要がある。要するにカウンセラーには「守秘義務」があると言うことである。  

 カウンセリングの途中に、クライエントに自傷他害の恐れが出てきた場合には、自分だけで抱え込まず、関係機関と密接に連携して問題に適切に対応することも時には重要である。  

 カウンセラーの「守秘義務」は基本的には守られねばならないが、クライエントがカウンセラー以外にも事実を伝えたいなどの要求が出てきたときには、本人の意思を確認の上そのようにすべき時もあるが、その判断はカウンセラーが総合的な観点から責任を持って下すべきである。  

 それと、これはたびたび問題になっていることであるが、カウンセラーはクライエントと絶対に性的関係になってはいけない。と言うのも、クライエントの人格的成長とそれは何ら関係があることでもないばかりか、結果的にクライエントを深く傷つける結果になる恐れがあるからである。これではクライエントの最大の利益の追求と言うカウンセリングの目的自体から逸脱してしまう。  

 以上が心理相談(カウンセリング)の流れと倫理である。これらを遵守できるカウンセラーになるためには、経験豊富な「スーパーバイザー(監督指導者)」によるスーパーバイズを定期的に受け、自己のカウンセリングの熟練のために日々研鑽することがカウンセラーひとりひとりに求められる。

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