講座 心理学概論 3 心理学史 7 大陸の合理論の登場

 16世紀になると、望遠鏡の発明をし、コペルニクス的地動説を発展させ、惑星の観測をしたガリレオ・ガリレイが現れ、天体の軌道がガリレオによって円形だと仮定された仮説を、その友人ケプラーが惑星の軌道は楕円形であることを証明し、修正した。このような新しい世界観を決定づけたのが1687年にアイザック・ニュートンによって著された「自然哲学の数学的原理」であった。  

 このような時潮の中、懐疑主義者であるルネ・デカルトはあらゆるものを疑ってみて、神の存在、自分自身の感覚の妥当性、自分の身体の存在だけは疑うことができないとして演繹法を唯一の真理に到達する方法として用い、事実が理性によって正しく秩序づけられたときに、はじめて意味を持つと主張した。哲学を内省によって行うという。チョコレートとカカオとココアの分量についてチョコレートとカカオが同じでありチョコレートとココアが同じならばカカオとココアも同じ分量であることを知るのは、学習を通さず理性のみで判断できるので、こうした判断は生得的だとデカルトは言う。デカルトは、形相の代わりの明晰判明な観念は感覚から来るものではなく、我々の魂に自然に内在するある種の真理の根源があるという。彼は、神は宇宙という機械を作り、それを作動させたという考えを持っていた。だから、このすべてに「延長」と言う性質を有する機械の法則、すなわち自然の法則を理解し、利用することが哲学の仕事だと考えられていた。身体は機械であり、心はこれとは異なり非物質的なものだが、相互作用するものだというのが彼の見解であった。  

 次いでパスカルが現れた。パスカルは数学に関して神童であった。計算機をつくり、理性を機械に行わせようとした。そしてスピノザは神と自然を同一視した。そして心は物質の一側面であり、機械論的に決定されたものであると考えた。彼はそういっておきながら一方では賢いひとというのは理性に従って行動するひとだと言った。少し遅れてライプニッツが現れ、数学者として微積分学を打ち立て、形而上学としてはモナドという物質の根源を仮定し、精神と身体はちょうど狂いのない時計をあらかじめ合わせておきある時点で両者が合致するのが因果的関係によるものではないように、平行に存在しているに過ぎないと主張した。すなわちモナドは前述の2つの時計のように予定調和されているだけなのだと言う。知覚に関して彼は「微小知覚」と言う考えを述べている。微分学と類比的に小さな雨粒一つ一つの音は知覚できないけれども、その集まりとしての小雨は知覚できる。人間の知覚はこのような「微小知覚」から成っていると彼は考えた。そして知覚が精密化する働きのことを「統覚」と名付けた。この時期にはゴクレニウスが西欧で初めて「心理学」と言う名称を使った「人間学的心理学」と言うタイトルの書物をデカルトが生まれた1590年という極めて早い時期に発表している。彼は「存在論」と言う語の発案者としても知られている。

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