講座 心理学概論 2 心理学研究法 19 縦断的研究と横断的研究

 発達心理学研究には大別して2つの研究法がある。ひとつは縦断的研究で、いまひとつは横断的研究である。  

 縦断的研究とは個々の被検者を長期間にわたって行う研究のことであり、発達の質的変化を正確に捉えることができ、時代の影響も捉えることができる反面、費用の高さ、被検者の中途脱落、労力の大きさなどの面から見て、すべての条件を満たさない限り行うことは不可能である。この負担を小さくするために、同じ時期に同じ体験(例:小学校入学、同期入社など)をしたものをたとえば5年区切りでコホート(同一時期同体験者集団)について縦断的研究が行えるようなコホート研究が実際の心理学的研究には多く見られる。  

 横断的研究とは広い被験者層に対して1回だけ調査を行う方法のことを言う。分かるのは現在の被検者の心的状態、おおまかな年代差などであり、縦断的研究と比べると、得られる情報は限定的である。しかし、労力・費用・中途脱落などが低く、容易に実行可能である。テストの信頼性・妥当性を見るためにも有用なため、横断的研究は多く用いられる。  

 なお、横断的研究と縦断的研究を組み合わせた系列横断法もあることを忘れてはならない。

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