講座 心理学概論 2 心理学研究法 13 その他の統計的分析

 以下の統計分析はSAS・SPSSで求めることができる。  

 紙幅の関係上、その他の統計的分析は、短い文章でまとめることとする。  

 テストを構成する項目を統計的に構成する方法を項目分析と呼ぶ。項目の困難度を「通過率」、識別力を「点双列相関係数」で表す。しかし、この方法では1つの項目得点がテスト全体の値に影響を与えるため、その適切性に疑義がある項目で満たされていないとまた最初から分析を始め直す必要があり、煩瑣であった。そのため最近では項目を独立に定義し通過率を評価する「項目反応理論」が台頭してきている。  

 相関係数に関係する分析として最小二乗法による単回帰分析がある。そこでは2変数の値をグラフに書いて最も当てはまりの良い回帰直線の式(一次方程式で表す)を求める。この手法を最小二乗法を用いて二つ以上のX(X1・X2・・・Xn:例 センター試験の国語と数学の成績)についてYの回帰式を求める手法を重回帰分析という。また、結果変数が名義尺度の場合にある標本がどのグループに属するかを統計的に決定する方法を判別分析という。判別分析は、独立変数が判別に影響しているかをみるためにも利用される。独立変数が複数の場合を重判別分析という。3つ以上の独立変数がある場合には「正準判別分析」という。次に主成分分析があるが、これは多くの変量を、できるだけ統計的損失なしに1つあるいは複数個の総合的指標で代表させる方法である。また、多次元尺度構成法は2つの変数の類似度を判断するさいの根拠を明らかにするための方法である。  

 質的変数しか与えられていないデータに何らかの合理的方法で数量を与え、そのデータの意味を探ることを(林式)数量化理論という。数量化Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ類は上記それぞれの重回帰分析・正準判別分析・主成分分析・多次元尺度構成法の質的方法版とも言うべきもので、抽象度の高い心的特性の客観的議論を可能にする重要な方法としてデータ構造の探索、新たな仮説の生成に威力を発揮する。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です