講座 心理学概論 2 心理学研究法 12 信頼性と妥当性

 たとえばパーソナリティー検査・知能検査などには信頼性と妥当性が求められる。  

 信頼性とは同じ検査を複数回受けても検査得点に差が見られない度合いのことである。つまり、テスト得点をS、真値をT、誤差をEとして数式で表すと、S=T+Eとなるが、ここでEの値が最小になるようなテストが望ましい、ということである。信頼性を測る測度としては、測定の標準誤差(誤差の標準偏差)、信頼性指数(真値Tと測定値Sとの相関係数)、信頼性係数(得点Sの分散に占める真値Tの分散の割合)、信号雑音値(真値Tの分散と誤差Eの分散との比)などがあるが、信頼性係数を利用することが多い。信頼性係数の取り得る値は0~1であるが、一般に0.9以上であることが望ましい。同じ被検者に複数回テストを受けてもらうことはできない。そこで多数の被検者にテストを1回ないし2回受けてもらって信頼性の高さを推定しようとする。その方法には再テスト法(同一の被検者に2回テストを受けてもらう方法)、内部一貫性による方法(たとえば問題項目を偶数番と奇数番に折半して信頼性係数を推定する折半法(スピアマン-ブラウンの公式;信頼性係数ρ=2r/(1+r):クロンバックのα係数;α=(n/(n-1))×(1-(項目分散の和/合計点の分散))、代替テスト法(同一の構成概念を測定し、得点の平均、分散、信頼性が同値となる平行テストを用いて信頼性係数を推定する)などがある。  

 妥当性とは、測定したい内容を確かに測定している確度のことをいう。テスト項目がそのテストで測定しようとする領域の適切な標本となっているかを(複数の専門家などによって)表すのが内容的妥当性、たとえば精神疾患の診断あるいはすでに妥当性が確立しているような心理検査を外的基準として精神疾患テストとの関係の強さをみるような場合の妥当性を項目基準関連妥当性(外的基準がテストと同時に与えられるような場合には併存的妥当性、後に与えられるような場合を予測的妥当性という)といい、形式の異なる同一の構成概念を測っているテスト間の相関の高さに基づく妥当性を構成概念妥当性と言い、相関の高さを収束的妥当性、低さを弁別的妥当性という。

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