ユークリッド幾何学批判

 
 ユークリッド幾何学には、人間の認識と相容れない部分があるのでそれを質したい。

 点と線の定義において、それらは面積を持たないと仮定しているが、面積を持たない点や線は実在しない。

 こう指摘するとすぐにひとびとはイデア論の話に逃げる。点も線も真円も正三角形も実描に対するイデアであって、現実には描き得ず、なので真実に実在するものはイデア(仮構)だけなのだ…と。

 よくよく考えてほしい。この話は単なるレトリックなだけなのではないか、…と言うのも、点や線や真円や正三角形は現実に描き得ず…と言っておきながら、我々の脳裡でだけは描き得る、と言う…ちょっと待ってくれよ、そんなの我々の脳裡でさえ描き得ないではないか、…と言うお話になる。

 ユークリッド幾何学…延いてはイデア論そのものに矛盾があるのである。

 少し真面目に考えると、どこからそんなことを発明したのかは知らないが、点や線や真円や正三角形ほど真実には実在しえないものはない…だがみんなはそれ(=イデア)だけが真実に実在するのだと言う。

 ユークリッド幾何学自体の限界も含めて、イデア論に潜む矛盾についてご一考を迫っておく次第である。

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