統計的検定の初歩

 
 心理学においても、多彩な統計学の手法を用いていることは常識的なことである。

 しかし、その「ミソ」を明確にイメージできているひとはまずいない。

 そこで、ここでは統計的検定、中でも使用頻度の大きい「2つの平均値の差の検定(いわゆるt検定)」について、イメージからお話してみたい。

 集団Aと集団Bがいずれもある課題について正規分布をするとする。しかし集団Aの平均が50点(標準偏差4.5)で、集団Bの平均が55点(標準偏差5.0)だったとする。

 ここで集団Aの平均値と集団Bの平均値に有意な差があるかと言う問題に統計的答えを出すためには、これら2つの集団の正規分布曲線を重ねてみて、重複部分の面積が相対的に大きければ「有意差なし」、小さければ「有意差あり」と言うことになる。有意差についてはある程度重複面積が小さければ「5%水準で有意」、さらに小さければ「1%水準で有意」とかになり、マスコミの記事でこうした表現に触れたひとも少なくないだろう(要するに100回そうして5回ないし1回未満しか起こらない確率と言う意味です)。

 イメージで語れば、そのような手続きを取ることによって、集団Aと集団Bの平均値に差があるのかを検討できることは容易にお分かりいただけるであろう。本当に簡便な数式でこれを求めることができるのなら、それが主流となるべきである。

 しかし残念ながら、現実にはそのような統計学的手続きが実在するわけではなく、2つの集団の差分から成るもうひとつの正規分布曲線を導き出して、統計的に「有意」なのか否かを判別するのが現在のt検定の現実の手続きである。

 ここでの目的は、イメージとして統計的検定、分けてもt検定を理解してもらうことだったので、これで良しとしよう。

べき乗の増分法則

 正整数nの2乗の導出式   

           差分    

1の2乗   1    1   

2の2乗   4    3   

3の2乗   9    5   

4の2乗   16   7   

5の2乗   25   9      

………  

 以上のことからnの2乗は  (n-1)²+(n+(n-1))  と表現することができる。  

 これは、(n-1)²の展開式(n²-2n+1)からn²に持って行けばよいので、例えばn³でもn⁴でもnのr乗でもこれと同様の解を求めることができる。  

 ただし、そのような論理解を求めるより上記のような直感解を求める癖を付けた方が算術的なセンスは磨けるように思う。