近代国際外交の克服のために

 
 誰でも近代の国際外交関係を支配してきたものは、インタレスト(利害)であることは容易に察しがつくであろう。

 しかし、これは国際外交関係の本質と言うものを省みるとき、はなはだ危うく、また不安定なものだと感じられるのもまた一理ではなかろうか。

 それは、インタレストと言うものが、その国の国状や需要に左右されることによるものであることを痛感せざるを得ないゆえである。要するに、それらが変われば世界地図が変わってしまうと言う歴史をいままでなしてきたのである。

 インタレストによる外交と言うもののこの限界を克服して真の安定した国際外交関係を成立させるためには、やはり利害打算から離れた何かを重視する他にはないのではなかろうか。

 それにつきひとびとは、「真の心のふれあい」だと言いもすれば、「安定した外交こそ真の財産」だとも言うし、「二心ないこと」だとも言い、「思い遣り」だとも言い、「歴史に学ぶこと」だとも言い、「国状情報の共有」だとも言い、「ひとびとの地力」だとも言い、「民草レベルでの交流」だとも言い、「純粋な心による親善の努力の積み重ね」だとも言う。いずれであるにしても、「インタレストを超えた外交努力」であると言う一点でだけは一致している。

 加えて、ここで短く「善」と「悪」について考察をしておく。日常感覚で言う(つまり大袈裟ではない)真の平和に資する思念のことを「善」と言い、それに反する思念のことを「悪」と言うのである。

 近代国際外交の問題点を克服し、不安定な国際外交関係から脱却し、真の国際和平を実現するためには、これから何が理念となるべきかについて、この拙い筆者の文章の読者にはいかなる「答え」が浮かんでくるのであろうか。

 その「答え」は、筆者にではなく、読者の皆さんに委ねられる。

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