精神医学における「常識」の非常識

 精神疾患のそれたるゆえんを「了解不能性」に従来の西洋精神医学はヤスパース以来求めてきた。

 しかし、本当にそうなのであろうか?

 もしそれを真実としてみたならば、「うつ病」を精神科医は理解し得ないという理屈になる。

 そんな風に考えてゆくと、精神疾患が「了解不能」とした「本丸」は統合失調症だと言うお話になるであろう。

 では、統合失調症は本当に「了解不可能」なのであろうか?

 筆者ベイトソンの理論はほとんど妄想レベルで、それこそ「了解不能」であると思うが、心理学的な実務のなかで筆者が万に一つ統合失調症の病態の説明仮説があるとしたら、以下のように「了解可能」だと思っている。

 「統合失調症とは、患者の所作振る舞いのタイミングの喪失を主症状とする精神疾患である」。

 なので、一般に統合失調症患者に不眠を併発するのは当然の道理だと思うのである。

 この「タイミングの喪失」からくる他者の無意識への依存が、統合失調症患者の奇妙な所作振る舞いを引き起こしている、と考えれば、言われているほど「了解不能」ではないのではないだろうか?

 それは、ソンディが指摘しているように「運命の狂い」的なものなのかも知れない。

 以上、精神疾患における「常識」の非常識を指摘しておく。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です