偶然と必然

 
 「偶然と必然」について考えてみたい。

 哲学的には「対立する2項」と捉えられがちな「偶然と必然」ではあるが、筆者はそのような捉え方はしない。

 そもそも「偶然と必然」は、我々の感知の問題として、何者かの不如意に制御権があるのか、如意に制御権があるのかの問題だと言って良いであろう。

 問題の所在を分かりやすく言うと、自分も含めての何者かにとっての不如意(たとえば気まぐれ)に制御権を取られている状態が「偶然」であり、如意(たとえば目的遂行)が制御権を握っている状態が「必然」だと言える。と言うか、そのように映る。

 これは心理学用語で言うところの「統制の座(ローカス・オブ・コントロール)」の問題に他ならない。

 つまり、「統制の座」が何者かにとっての不如意にあるときには、諸事象は我々に偶然に映り、如意にあるときは必然に映ると言う事情があって「偶然と必然」と言うコントラストが生まれてくるわけである(これだけで偶然と必然の問題を割り切るのは単純化し過ぎと言うことも弁えてはいるが、敢えて分かりやすくした)。

 したがって、我々から見た「偶然と必然」の関係は、対立ではなく「如意と不如意のせめぎ合い」の関係になることが理解できるであろう。

 このような観点で「偶然と必然」の問題を捉えることは、日常生活でも有用ではないかと思う次第である。

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