ゼノンの有名な矢のパラドックスは、次のように考えると氷解する。なお、矢は等速直線運動をすると仮定する。
「矢は到着点までその半分、そのまた半分、そのまたそのまた半分を通過しなければならないので矢は最終的に到着点に辿り着くことができない」。
この詭弁は次のように考えるとすんなり理解できる。
「矢がその半分に到達するのにかかる時間は全体の2分の1、そのまた半分に到着するのにかかる時間は全体の4分の1、そのまたそのまた半分に到着するのに要する時間は8分の1…」…これらの時間の合計は矢が射出点から到着点に達する時間に等しい。
つまりこの問題の「逆パラドックス」は、次のことを教える。
「時間を半分点、その半分点、そのまた半分点、そのまたそのまた半分点…と切り刻んでいるうちは、総所要時間に永久に及ばない」。
まぁ、微分学のようなお話なのであった。