偽りの「誠実」

 
 昔、あるところに大変に才覚のある人間がおりました。

 彼はその才覚を「大きなところ」に見込まれて、「手伝ってあげましょう」と言うので、それを受け入れました。

 そして、その「大きなところ」は、みずからがそれで手に入れる大枚のごく一部を「キックバック」して彼に環流していました。

 そして、その「大きなところ」は、「我々の存在を伏せていてくれるなら、あなたに手渡すお金が途切れることはありませんのでご安心を」と彼に言いました。

 そのため、その才覚の持ち主である彼は、周囲から「黙々と努力する人」だと誤解され続けましたとさ。

 おしまい。

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