大方の人間は産まれた時から男性か女性かが決まっており、自分の性器を幼児の時に自覚する。これを「第一次性徴」と言い、子ども仲間で遊んでいるうちにいつしか自覚を持つことが多い。
それに対して、小学校高学年にもなると、男子では精通、女子では初潮などに代表される性機能や体毛の出現などの外見の変化などの大人への階段を歩んでいく契機となる。これを「第二次性徴」と言う。
生理学的なこれらの変化の基盤は、性ホルモンの分泌の活発化によってもたらされる。男子ではテストステロン、女子ではエストロゲンやプロゲステロンなどの性ホルモンによって彼らはより「男らしさ・女らしさ」を獲得する。
男子の精通はおよそ10~11歳の間に起こる。女子ではそれと同じ時期に乳房のふくらみが見られ、10~16歳の間に初潮を迎える。小学校高学年から中学校に通う青年前期の子どもたちは、そうした生理学的変化に直面するわけである。
ところで、これら思春期の第二次性徴に直面した児童・生徒の心理的反応はどのようなものかについての研究では、男子は大方「当然のこと」と受け止めるが2割ほどの男子は否定的な態度を表し、女子では受容と否定的態度が拮抗して見られるようである。
このような思春期の子どもの諸変化は、周囲の大人たちの彼らへの接し方の態度を変える。つまり、「もはや子どもではない」と周囲に感じさせるために、大人はそれにふさわしい価値観を思春期の子どもたちに期待するようになるのである。子どもたちはより自分の内面に目を向けるようになり、大人と衝突することが多くなる。これを「第二次反抗期」と言う。
認知的にはピアジェの言う「形式的操作期」に達し、抽象的な思考が可能になるとともにそれに合わせた教育内容が与えられる。
性には2つの側面がある。ひとつは生物学的性で、「セックス」と言われる。もうひとつは社会的性で「ジェンダー」と呼ばれる。思春期の子どもたちは、この「ジェンダー」と言う性役割意識を意識し始め、徐々に内面化していくのである。
ときに思春期の子どもは、たとえば代々続く親の家業を継ぐことを期待されたりしていると、心が不安定になり、それが情緒の面にも及んでくることがある。激しい感情と突発的な言動で仲間からいぶかられることも多々ある。我が国の憲法には「職業選択の自由」が謳われており、親をはじめとする周囲の大人が価値観を押し付けることは誤りであるので、思春期の子どもの意思を尊重したかかわりが肝要である。
特にこの時期の子どもは、自分の内面と向かい合うことによって「自分とは何者か」についての模索を深めていく時期である。エリクソンの発達段階で「アイデンティティ(自我同一性)の確立」が発達課題になる時期なので、教師などはその後押しをすることが重要な役割と言えるであろう。
思春期の子どもは、「青年心理学」と言う著書を世界で初めて書いたホールの「疾風怒濤(シュトルム・ウント・ドランク)」と言う言葉に表現されているように感性が揺れ動く時期なのでいわゆる「いじめ」などが起こりやすく、それを適切に発見し解決するとともに暖かく見守る周囲の目が必要だと言えよう。