スキナーは、反応に関係なく強化が15秒おきに与えられるような状況にハトを置くと、さまざまな反応が非意図的に強化されることを見出した。これを「迷信反応」と呼ぶ。
ハーロウは、弁別学習をサルで試みたところ、単にスキナーが指摘するような刺激-オペラント-強化の3項随伴性が学習されるだけでなく、課題に共通の課題対処能力も学習されることを見出した。これを学習の構え(学習セット)と言う。
ハトの学習能力を知る目的で、よく用いられるのが「見本合わせ」課題である。あるスクリーン上の図形の一方に強化刺激が呈示され、一方には非強化刺激が呈示される。再び同じ刺激が同時に呈示されたとき、強化刺激に反応すれば、課題をクリアしたことになる。「遅延見本合わせ」課題では、両者を呈示し反応したら、一定の間隔を空けて再び両者を呈示する課題で、再び呈示されるものが見本刺激と異なる場合を「象徴見本合わせ課題」と言う。
運動学習において、線分を書く課題を被験者に行わせ、運動学習でも「効果の法則(満足を得た反応が行動を強化するという法則)」が働くとソーンダイクは主張したが、トロウブリッジらは運動学習に効果的なのは、罰でも強化でもなく「結果の知識(以下KRと略)」であることを見出している。
再びスキナーの話に戻るが、彼は行動理論を臨床応用することにも取り組んだ。消去と強化を織り交ぜて望ましい行動を獲得させる手続を「シェイピング」と言うが、これを編み出したのも彼である。
時代をさかのぼると、ウォルピが「系統的脱感作法」を産み出し、恐怖症の患者に怖いもののリスト(不安階層表)を作成させ、不安の低いものから次第に高いものへとリラックス反応を連合させて克服させるという成果を上げていた。
その後スキナーに至るまで、刺激を飽和させて刺激の低価値化を行うと、消去したい行動を消去できるようになる、刺激性制御(弁別)により形成された行動を消去するために刺激を取り除くと行動を消去できるなど、臨床応用の幅が広がった。
最後に、バイオフィードバックについて述べておこう。
通常自律神経が支配している発汗、心拍、皮膚温度などを、機器を通して被験者に常に知らせ続けるという手続きを取ると、初めのうちは制御できなかったこれらの自律神経系の活動を意志的に制御できるようになる。このような現象を「バイオフィードバック」と呼ぶ。赤面症などの治療に有効であることが分かっている。