講座 心理学概論 2 心理学研究法 10 刺激の比較法

 心理学(精神物理学)で使用される刺激の比較法には調整法、極限法、恒常法、上下法、一対比較法、系列カテゴリー法がある。1つずつ取り上げて説明する。  

 調整法は知覚の閾値(50%の確率で刺激を検出できる刺激の強度)を数回、明らかに知覚できない値から被検者自身がはじめて知覚できるところまで上げていき求める方法である。  

 極限法は実験者が刺激を操作する点で調整法と異なり、明らかに知覚できる刺激強度から明らかに知覚できない刺激強度まで下げていく下降系列と、明らかに知覚できない刺激強度から明らかに知覚できる刺激強度まで上げて行く上昇系列を数回繰り返し、それらの平均から閾値を求める方法である。   

 恒常法は、閾値付近と実験者が推定した刺激強度を7つくらいあらかじめ決めておき、実験者が無作為にそれらの刺激を呈示し、刺激値下での知覚割合を直線で結んで記録しておき、知覚確率が50%の点を閾値として求める。  

 上下法では、実験者がたとえば明らかに知覚できない値から上昇系列で刺激強度を強くして、被検者がはじめて「知覚した」と報告したら下降系列に転じ、明らかに知覚できないと被検者が報告したらまた上昇系列に転じると言う操作を繰り返し、変化点の平均を閾値として求める。  

 一対比較法は、各刺激のうち2つを選び、どちらが優越するかを報告してもらう方法である。  

 系列カテゴリー法は各刺激について、「最も当てはまる-まぁ当てはまる-どちらとも言えない-あまり当てはまらない-全く当てはまらない」などの尺度を用意し各刺激強度について評価してもらう方法である。なお、この方法は質問紙検査などでも有効である。  

 ウェーバーは刺激の弁別閾の研究で50グラムと49グラムの変化を検出できるひとは100グラムでは98グラムで変化を検出できることを見出した。刺激の増分ΔS、比較基準刺激をSとして式で表せば、

       ΔS/S=一定

                                                                                                                                                                               

となる。  

 さらにフェヒナーは、ある刺激の存在自体を感知できる絶対閾と刺激強度間の異なりを感知できる弁別閾を区別し、刺激強度と知覚の関係にかんして、kを感覚毎の定数、Sを感覚の大きさ、Rを刺激の物理量としたとき、                

 S=klogR

の関係にあることを実証した。

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