ここでは侵襲的方法(生体に悪影響を及ぼしうる方法)と非侵襲的方法の両者について述べる。
侵襲的方法には解剖学的に危険な方法と、放射線被曝のような侵襲的方法がある。前者として脳の萎縮などの進み具合を知る方法として気脳造影法がある。これは、脳に損傷を生じると脳が萎縮し、脳室が増大する事実を知るためのもので脳室に空気を送り込んでX線像を得る方法であるが、どの程度の損傷がどちらの半球にあるかまでしかわからないため、現在では用いられていない。空気の代わりに造影剤を注入してX線の透過率を変化させX線像を得る場合を脳室造影法と呼ぶ。および血管造影法においては放射性不透過性造影剤を頭部に注入してX線撮影をして、脳内の血管の状態を画像化でき、出血箇所、閉塞部、動静脈奇形の位置を知ることができ、画像化に超音波やMRI(後述)を使用するようになってからは、当初高かった侵襲性も低くなり、現在でも用いられている。放射線被曝をともなう侵襲的方法の代表はCT(コンピューター断層撮影)がある。CTは脳の病変を正確に捉えられるようになったという意味で1970年代から脳の病変の把握に革命をもたらした。たとえば、水分が干上がり脳軟化の病状を呈している箇所はX線の透過を高率で許すので低吸収域と言い、黒くうつる。血腫などができた箇所はX線の通過率を低くするので高吸収域と呼び、白くうつる。しかしCTは、機能の低下と言った特異な症例の診断には限界があり、これを補うためにSPECT(単一光子放射型コンピューター断層撮影法)が開発されたが、いずれも冠状断の撮影しかできないという欠点が残った。近年では、PET(陽電子放射断層撮影法)まで開発が進んでいる。
侵襲的方法とは言えないかも知れないが、剖検や手術も病巣局在法の代表格である。しかし剖検は時間的ズレ、手術は病巣局在そのものに欠点を持ち、限界が指摘されている。それでも得られる情報の多さから現在でも重視されている。
非侵襲的方法には、1930年代に開発されたEEG(脳波)、ERP(事象関連電位)、MRI(磁気共鳴像)、fMRI(機能的MRI)、MEG(能磁図)、光トポグラフィ、経頭蓋磁気刺激法などが盛んに研究に用いられている。ここではERPとfMRIに限って言及しておく。
ERPは刺激による感覚、注意・記憶などの心的活動を反映した電位変化である。たとえば動物の名前を一語ずつスクリーン上に呈示している途中で一語だけ果物の名前を呈示すると潜時が400msの陰性電位を生ずる(意味的ミスマッチ)。このようにERPは感覚や認知活動の指標として心理学の研究では用いられている。
fMRIは、水素原子核中の陽子(プロトン)が、強い磁場の中でコマのような回転運動を続けている現象から脳内の水の分布状態を画像化するMRIに構造探索のみならず機能研究もできるよう改造されたMRIである。