超短編創作童話「心の鏡」

 ウサギさんはカメさんに冷たくされており、カメさんへの愚痴をいつもこぼしていました。

 トカゲさんはそのウサギさんに冷たくされており、ウサギさんへの愚痴をいつもこぼしていました。

 いたたまれなくなったトカゲさんは、自分に冷たいウサギさんに姿見、つまり鏡を贈りました。

 鏡をもらったウサギさんは、自分の姿にさぞ惚れ惚れするだろうと自分の姿を鏡に映しました。

 するとどうでしょう、贈られた鏡に映ったのは、あの自分に冷たいカメさんの姿そのものではありませんか。

 昔から我々は自分と大して変わらない心の持ち主が自分と似ていることにいつも一番気付きにくいようです。

 おそらく、カメさんも他の誰かに冷たくされていたのでしょう。

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