ミューラー=リヤー錯視

 いわゆる「ミューラー=リヤー錯視」の説明理論で最も有名なのは「グレゴリーの3次元仮説」であろう。  

 その説では、矢羽根が180°未満だと鋭ければ鋭いほど「コーナーの行き詰まり」と知覚されるので、線分が近くに寄って見え、180°超だと「オープンスペースの入り口」と知覚されるので線分が「こっちこい、こっちこい」と長く見えるのだ、と説明できよう。

 しかしミューラー=リヤー錯視はポンゾ錯視のように線遠近法的な解釈の余地は小さく、読者の皆さんにはたぶん、二次元的な刺激を三次元的に解釈すると言うこと自体に疑念を抱かれる向きも多いであろう。 

 僕はそんな大した仮説ではなく、矢羽根の角度が線分の「そこまで」を曖昧化して過大視・過小視させるのでこの錯視が起こると考えている。それが証拠に矢羽根の閉じたものと開いたものを平行に上下に並べたときに、ともに線分の終点に垂直のスリットを入れるとこの錯視は消失する。まぁ、「位置誤認説」とでも言えるのではと考える。

 ただ、常識的には「伸張と収納」パターンのお話なのでこの錯視は自然な気がする。

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